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目の奪い合いから耳の奪い合いへ

世の中にはコンテンツが溢れる時代。現代では目の奪い合いから、徐々に耳の奪い合いへ変化していることをご存知でしょうか?現状起こっているメディアの変化、および今後起こり得る変化について解説していきます。

広告媒体はWebメディアが主戦場になる

既に広告媒体はWebメディアが主戦場になっていることは様々なデータが示しています。

電通のデータによると、インターネットの広告費は6年連続で2ケタ成長しており、2019年にはテレビメディアの広告費を超えました。インターネット広告の費用は2兆円を突破。一方、テレビメディアの広告費は2兆円未満を推移しており年々下がっています。

また矢野経済研究所のデータによると、インターネット広告の市場は右肩上がりに推移して、2023年度には2.8兆円を超えるとのこと。なおMIC研究所から同じようなデータが出されていることから、インターネット広告の市場は増々盛り上がっていくと考えられます。

可処分時間の奪い合いは映像から音声へ

この現象は多くの人が納得するでしょう。かつてテレビを”見ていた時間”が、YouTubeやそのSNSを見る時間に置き換わった人も多いはず。今では「テレビCMよりネット広告を目にする機会が多い」という人も少なくないと思います。

こうして様々なコンテンツが、人々の可処分時間(自由に使える時間)を奪い合っているのです。これらのコンテンツは、「目」が主体となりっています。だからこそ「耳」を利用したコンテンツが注目されているのです。

耳の可処分時間は空いている

すでに目をベースにした可処分時間の奪い合いは飽和状態と言えます。しかし耳を利用したコンテンツは「ながら」聴きできるため、可処分時間はまだ空いているのです。

耳を利用したコンテンツなら、以下の状況でもストレスなく聴けます。
通勤・通学中の電車内、散歩しているとき、家事(炊事・洗濯など)をしているとき、育児をしながら

Podcastのデータによると「リスナーの80%が音声エピソードの全部あるいはほぼ全てを聴く」とのこと。音声コンテンツは接触するストレスが小さいことを物語っています。

ナレーションを主体にした映像

また音声だけのコンテンツではなく「ナレーションを主体とした映像」も、今後増えると考えられます。たとえば凝った映像ではなく、簡単なアニメーションを制作し、ナレーションで情報を補足するようなコンテンツです。簡単なアニメとナレーションなら、見る側の労力も小さく、映像を見られない状況でも興味を惹きやすく、端的に情報を伝えられます。昨今の状況ではロケがしにくいこともあり、世界的な傾向でもあります。

人の心は言葉よりも声によって動く

音声は聴き手に深くリーチできます。この点も音声コンテンツが今後拡大する理由の一つと言えるでしょう。

ある実験によると、人の心は「語られた言葉(内容)」よりも「声」によって動くそうです。その実験とは、声の特徴が異なるAさんとBさんに、同じ言葉を同じ速度で話してもらい聴き手に、印象を回答してもらいます。

その結果、Aさんに対しては90%の人が「信頼できそう」というポジティブな回答をしました。一方Bさんは、ポジティブな票をほとんど得られませんでした。

話した言葉は全く同じにもかかわらず、全然違う印象を持たれたということです。理由は「声」差にあったと考えられます。落ち着いた低いトーンで説得力があったのでしょう。誰かに情報を伝えるときは、「声」が大きなポイントであるということです。

声は人の心を揺さぶる

声が人の心を揺さぶる理由は、人間の聴覚と脳の仕組みが原因と言われています。声は耳から大脳の聴覚野を通り、言葉を理解する大脳の新皮質に送られます。声は「音」でもあるので、より深い場所にある「旧皮質」という部分も刺激します。旧皮質は危険を察知したり、快・不快を判断したりする領域です。

そこに理性が入る余地はありません。音声は「本能的」に快・不快を感じやすいのです。だからこそ音声は人の心に深く刺さり、心を揺さぶります。

まとめ

このようにWebメディアは、目の奪い合いから耳の奪い合いへ変わっていきます。もちろん映像がなくなることはないでしょう。そこに「声」の要素が加わり、強くなるという意味です。

今後の広告戦略や自社のブランディングは、今までよりも「声」の重要性が増します。その点を認識した上でWebメディアを展開することにより、より効果的なブランディングや商品紹介などができるでしょう。

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